ECシステムの選び方
ECサイトを自社で構築する場合、選択肢はASP、オープンソース、パッケージ、フルスクラッチの4種類です。各システムの違いや特徴については、当サイトのコラム「ECサイト構築の基礎知識」にて詳細を記載していますので、そちらもあわせて目を通してみてください。
今回はモール型ECサイトについての情報も記載していますので、自社ECサイトとも比較してみてくださいね。
さて、ECシステムを選ぶ際はまず、「機能・費用・期間」の基本的な3つの情報を集めることから始めてみましょう。
このような基本情報は集めやすいため、調べるのにあまり時間がかかりません。さらに、基本情報を集めておくことで、候補が複数あったとしても比較・検討がしやすくなります。
機能
そもそも、ECシステムにはオプションとして機能を追加できます。つまり、「カスタマイズをどこまでしたいのか」、「どんな機能を付けたいか」次第で追加する機能が決まっていきます。
そのため、取り扱う商品のコンセプトやジャンルなど、さまざまな条件からよく考えて決めることが大切です。今回は絶対につけておきたい機能をいくつか絞ってご紹介します。
決済機能
株式会社Paidyが実施したオンラインショッピングの決済に関する調査レポートによると、「希望の決済方法が用意されていない場合、購入せずにサイトから離脱するユーザーは7割以上」という結果が出ています。
そのため、クレジットカード決済、代引などの決済手段を複数用意し、充実させておくことは非常に重要です。ただし、決済手段を追加するほど費用がかかるので、どの決済手段を用意するか絞っておくことをおすすめします。
ショッピングカート(ECカート)
ECサイトにはお客様が途中で買い物を辞めてしまう、いわゆる「カゴ落ち」防止のため、分かりやすくて入力に手間取らないページ遷移が必要不可欠。ショッピングカートは、注文を効率よくさばくための機能です。
受注管理
ネットショップは注文内容の確認、入金の確認、キャンセルなど素早い対応が求められるため、受注から出荷までの流れを効率的に進めるシステムが必要です。使いやすいシステムなら短期間で納品でき、顧客満足度の向上も期待できます!
セキュリティ
セキュリティはサイト・店舗、運営会社自体の信頼性にも関わるので必要な機能と言えるでしょう。カード情報、住所・氏名などの重要な個人情報を保護するため、SSL(暗号化通信)や、3Dセキュア・セキュリティコード入力へ対応しておくと良いですよ。
その他(なるべくつけておきたい機能)
SNSとの連携機能、Web広告の配信代行の利用など「集客サービス」は新規客をサイトに導く重要な役割を持っています。
ほかにも会員情報ポイント付与などの「顧客管理システム」はもちろん、新商品の入荷などの最新情報、キャンペーン情報など顧客が欲しい情報を常に発信する「メルマガ配信機能」もなるべく付けておくと良いでしょう。リピーターを増やす大きなきっかけになるはずです。
モール型ECサイトの機能について
楽天やYahoo!ショッピングなどのモール型ECサイトには、サイト構築のための機能があらかじめ揃っています。ただし、機能が充実していないことも多く機能面ではあまり期待しない方が良いでしょう。
しかし、モール型サイトは無料でツールを提供していることも多く、比較的簡単にECサイトの構築が可能なので、気軽に始めやすいという利点もあります。
費用
初期費用ばかりについつい目が行きがちですが、継続してかかる月額費用(維持費)の存在も忘れないでおきたいところ。
加えてECサイトは、3~5年でリニューアルするのが一般的です。リニューアルにも当然費用がかかるので、リニューアル時の費用についても考えておきましょう。
モール型ECサイト
モール型ECサイトの場合、初期費用があまりかかりません。自分でページを作成した場合、初期費用が無料になることもしばしば。
相場は大体0円~10万円以下です。月額費用はサイトによって異なるので、利用したいサイトが決まったら確認してみると良いでしょう。
ASP
ASPの場合、初期費用は0円~数十万円、月額費用は数千円~5万円程度になります。
オープンソース
初期費用は0円~数百万円、月額費用は数千円~数百万円ほどになります。大体10~100万円以下であれば多少のデザイン・カスタマイズへの対応が中心なので、残念ながら自由度はあまり高くありません。
パッケージ
初期費用は数十万~数千万円、月額費用は数万円~数百万円です。維持にかかる費用もかなり高額になる可能性が高いので慎重に考えましょう!
フルスクラッチ
初期費用は1,000万円以上、月額費用は数十万円以上かかります。100~500万円ほどのものになると、商品の写真撮影や説明文などの原稿の作成にも同時に対応してくれることが多いです。
こうして見ると、システム構築にも意外と費用がかかる
もの。ここにオプション(追加機能)をつけると、上記の値段よりさらに数百万円以上の費用がかかることも珍しくありません。
システム構築は当初予定していたより大幅に高額になるケースも多いため、必要な機能を見極めつつ、自分の予算と相談しながら構築を進めると良いでしょう。
期間
システムの構築には、時間が必要です。システムの種類や会社によって構築期間の長さが異なるので、しっかりと確認しておきましょう。
ここでは平均的な期間を記載しています。
モール型ECサイト
サーバーや設備をそろえる必要もないので、準備に時間がかかりません。大体、1週間~1か月程度で作成できるでしょう。
ASP
モール型ECサイトと同じく、ASPもサーバーなどの準備が不要です。こちらも1週間~1か月程度、長くても2か月ほどあれば構築可能でしょう。
オープンソース
「費用を抑えつつ、なるべく早めに独自のサイトを立ち上げたい!」という要望を叶えてくれるのがオープンソース。サイトにもよりますが、1~2か月ほどあれば完成するはずです。
しかし凝ったものだと8か月ほどかかることもあるでしょう。
パッケージ
独自のコンテンツやデザインなど細部にこだわるパッケージ型なら、2~8か月ほどかかるでしょう。
フルスクラッチ
フルスクラッチの構築期間はおよそ4~8か月ほどです。カスタマイズの自由度が高い分、サイトの細かい部分まで作れるのでそれなりに時間がかかってしまうようですね。
まとめ
ECシステムは、予算と時間をかければ自由に機能を追加できます。そのためECシステムを選ぶ際に必ず念頭に置いておきたいのは、「そのサイトで何がしたいのか」、「必要な機能は何なのか」などのポイントです。
運用目的、目標、機能の意味を明確にしておくことで、運用担当者にとって、そしてお客さまにとっても、使いやすく需要のあるサイトに仕上がりますよ。そのためにもまずは予算や期間、目的などに合わせて、バランスよく多角的な視野でシステム選びをすることが大切です。