ECシステム導入で発生するランニングコストはどのくらい?
起業の第一歩として人気のあるECサイトですが、その理由の大きな部分はコストの低さにあります。実店舗をオープンするためには多額の費用がかかります。ECシステムならば設備も不要だし、家賃も入りません。従業員も自分一人から始められます。だからと言ってECサイト構築の費用とその後のランニングコストがかからないわけではありません。
ECシステムを導入するために何が必要?
ECシステムと聞いてすぐに思い浮かぶのはwebページぐらいでしょうか。画面上に画像やメニューを表示するだけなので、簡単にできそうな気がしてしまいます。
実際には多くの準備が必要となります。自分の情報を発信するだけであれば、ブログなどの既存のシステムを利用することが可能ですが、実際に商売まで行うところまで対応しようとするとそれだけでは足りません。
まずはどのようなECサイト構築を考えているかから考えないといけません。構築する内容が決まったらそれを動かすシステムの種類を決定します。
クラウド型のサービスであればASP、ある程度用意された環境から始めたいならパッケージ、完全にオリジナルのシステムを構築するならフルスクラッチ、後は自由に構築できるオープンソースなどがあります。サイトの規模や導入までの時間的制約などが判断材料です。
ECシステムが決まれば、それに使う画像や内容を準備して、デザインを決定します。決済方法や送付の手段なども決める必要があります。ここまで来れば必要なものはほとんど揃っていると言える状態です。
期待していたECサイト構築が完了したら公開の作業に移ります。内部のサーバーで動いているものを世界でアクセスできる状態にする作業です。これで導入の作業は完了となります。この後は維持管理や改善を繰り返すことが重要になります。
利用できるECシステムの種類とその違い
ECサイト構築で最も悩むのがECシステムの選別です。この判断が初期投資やランニングコストなどに大きな影響を与えます。最も安価で始められるECシステムがASPです。
クラウド型なので、自社のパソコンには何も必要ありません。ネットにアクセスしてweb上でシステムを構築します。ブログに近い環境なので、気軽に始めることができます。デメリットとしては、提供されている範囲でしか利用できないのでカスタマイズができないことです。
少し自由度を増やしたのがパッケージになります。運営会社が提供するECサイトサービスを利用するもので、ある程度のカスタマイズが可能です。自分のやりたいことが実現できるのであれば、とても便利です。コストはASPよりも高くなります。
フルスクラッチは、ECサイトのオーダーメイドです。構築したい環境を説明してその通り仕上げてもらいます。そして維持管理もお願いするのが一般的です。当然コストも時間も一番かかります。
コストを抑えて、自由度が欲しい時にはオープンソースが適当ですが、知識が必要です。構築に必要なプログラムが提供されるだけなので、全てを自分で作り上げなければいけません。それだけの技能があることと、維持管理まで自分でできることが条件となります。オープンソースは無料のものが多く、コストもその分低く抑えることが可能です。
実際にかかるランニングコストは?
ECシステムにかかるランニングコストは、基本的に使用料になります。自分で構築できるオープンソースの場合、利用している内容によって費用が変わります。サーバーやドメインなどを使っているのであれば、その維持が主なランニングコストです。そのため数千円で済む場合もありますが、集客力を高くするとなると数百万円になることもあります。
ASPやパッケージ、フルスクラッチは、利用させてもらうサービスにコストがかかります。ASPは数千円から数万円ぐらいがほとんどですが、大規模なビジネスには向いていないと言うことが注意点です。起業して数年はこの程度のシステムで十分かもしれませんが、年商が1億円を超えるようならシステムの移行を考えた方が良いでしょう。
パッケージも提供会社の環境を間借りしている状態と言えるので、家賃を払う考え方と変わりません。相場としては数万円から数百万円まで幅広くなっています。あまり高いようならフルスクラッチに切り替えても変わらないこともあります。月に数十万円を超えるようなら、検討を始めましょう。
フルスクラッチは完全にお任せするわけですから、それなりのランニングコストがかかると思った方が良いでしょう。最低でも数十万円はかかります。構築時にオープンソースによって自社で運用できるシステムを構築してもらうとランニングコストを低く抑えられます。
手軽に始められるのがメリットのECサイトですが、全くの無料で運用することは難しく、ランニングコストもしっかりと考えた上で始めなければいけません。それでも実店舗よりはかなり低く抑えることができるので、過剰に警戒する必要はありません。